潮干狩り アサリ以外の貝をとってみよう! カガミガイ 編
カガミガイ
皆さん、カガミガイを知っていますか?
私はカガミガイが大好きです。
こんなカガミガイの魅力をお伝えしたいと思います。
これです!
やや灰色っぽくて大きな貝です。
潮干狩りで見かけたことがある方もみえるのではないでしょうか?
1.生体説明
漢字では鏡貝
国内では北海道南西部~九州の干潟、砂地などに生息
大きいもので10㎝を超える。
食用ではあるが、認知度は低く市場へもほどんど流通していない。
東京湾や大阪湾で採れる最近知名度が上がってきているホンビノス貝(外来種)とよく似ていますが別の貝でホンビノス貝の方が厚みがあります。
ホンビノス貝は市場でも流通している。
カガミガイはずっしりと重く、存在感はすごいのですが得体の知れない貝として、持って帰る人が殆どいない全く人気のないマイナーな貝です。
ですが、身はパンパンにしっかりと詰まっていてとても食べ応えのある貝です。
2.採り方
通常の潮干狩りの装備で良いですが、アサリより砂を深めに掘る必要があります。
アサリやハマグリなどの砂に潜るタイプの二枚貝は水管という器官を海底の砂中から伸ばして海水を吸い込み呼吸や食事をしています。
通常は水管の長さ以上には砂の中には潜りませんので、水管の長さがその貝の生息域に大いに関係しています。(潮が引いて水が無くなった場合はそれ以上砂に潜っている場合があります)
カガミガイはアサリ等に比べて水管がとても長いので、アサリ等より深く砂に潜っています。
下の写真はカガミガイとハマグリですが、比べても分かる通りカガミガイはかなり長いです。
アサリやハマグリが砂に潜っている深さは数cmであるのに対して、カガミガイは20~30cmくらいは潜っています。
ですので、カガミガイをとる場合はそれなりに深く砂を掘る必要があります。
とても硬くて丈夫な貝ですので、掘っている時に熊手などで割れてしまうことも殆どありません。
(でも投げたり、熊手でわざと叩いたりしたら割れてしまいます!)
3.持ち帰り方
基本的にはあさりの持ち帰り方と同じです。
・網やザルで表面に付着している砂や泥、小石等の異物を海水でよく洗います。
カガミガイ自体は丈夫な貝なのでガシャガシャと少し乱暴に洗っても大丈夫ですが、他の貝と一緒に洗う時には気を付けてください。あと、ガシャガシャと洗う時に手などを傷つけないように軍手等を着用する様にして下さい。
・腸炎ビブリオについて
ここでひとつ注意事項です。
ネット等であさりを持ち帰る時には必ず真水でよく洗うと記述されている事が多いです。
理由は腸炎ビブリオという食中毒の原因とされる菌が海水中や貝の表面に付着しているためこれらを洗い流し増殖を防止する為と、貝は真水につけると貝が強く閉じるため身を傷つけさせない為とあります。
確かに腸炎ビブリオの増殖を抑える事としては正しいですが、実際には潮干狩り場に貝を洗える真水の水道が設置されている所はほとんど見かけません。あっても手洗い水道程度で潮干狩り客が貝を洗うものではありません。
ただ、漁協、漁港等には、海から海水を汲み上げる設備があり、ホースのバルブを開けると海水が水道水の様に出てきます。潮干狩り場の近くにある場合は管理している漁協が同じであることが多く、設備を使用させてもらえる場合が多いので、一度聞いてみると良いと思います。この海水は貝の砂抜きにも適していますので必要分頂いて帰りましょう!
少し話がそれましたが、腸炎ビブリオの感染を防ぐことで気を付けた方が良いことは持ち帰る前に真水で洗うことより、調理前に水道水でしっかりと洗い、調理器具等にも海水や貝のぬめり等が付着した手で触らないことが大切だと私は感じています。
・運搬
持ち帰る時に海水を入れて持ち帰るか、海水なしで持ち帰るかについてですが、それぞれの注意点です。
海水なしで持ち帰る場合
カガミガイは海水がない状態でもかなりの時間問題なく生きていられますので、こちらがお勧めです。注意点としては貝は高温に弱いです。水を飛ばすからと、ビニール袋等に入れて完全密封をしない様にしてください。少し日光が当たっただけで中が蒸れてボカボカになり貝が弱ってしまいます。また、春~初夏でも皆さんが休憩等で車から離れている間に車内はそこそこ高温になりますので、貝にはかなりのダメージです。
ですので、クーラーボックス等に保冷剤や氷を入れて中の温度を15度位にして持ち帰れば長時間の運搬でも安心です。このとき保冷剤、氷は貝に直接触れないように新聞紙等にくるんで入れてください。
海水を入れて持ち帰る場合
メリットとしては砂出し時間を短縮できる事です。せっかく吐き出した砂をまた吸い込んでしまわないように、容器の底にすのこや網等を敷く等の工夫が少し必要です。
ただ、リスクもあります。貝は高温、酸欠に弱くこの環境下では直ぐに弱ってしまいます。
水を触って生暖かったり、水が白く濁っている等の状態になったら急速に弱ります。
死んでなかったとしても水が臭くなってきます。直ぐに水の交換が必要です。
このような状態にさせないために、海水を入れたクーラーボックスに保冷剤や氷を入れる必要があります。冷やす温度の目安としては海と同じくらいか少し冷たいくらいが理想です。
手を入れて痺れてくるくらいの温度では冷やしすぎですが、死ぬことは殆どありません。
氷の場合は溶けて真水が混ざらないようにしてください。
他のデメリットとしては、海水を入れて持ち運ぶと、クーラーボックスがとても重くなることです。
貝を海水なしで持ち帰る場合も、海水ありで持ち帰る場合も必ず海水をペットボトルやポリタンク等で多めに持ち帰って下さい。
4.家に着いたら
直ぐに持ち帰った海水で砂出しを開始してください。
海水を入れて持ち帰った場合は、水の状態を見てなるべく早く交換してください。
海水をいれて暗くして静かにしてしばらくすると、貝が動き出します。
夏場等は水温も注意する必要があります。理想は20度位です。冬や春のまだ寒時期ならあまり気にする必要はありませんが、夏場なら少し保冷剤等で冷やすと安心です。
ただ、冷やしすぎると活動が鈍くなり砂出しが遅くなりますので注意してください。
そして、持ち帰って砂出しを開始するまではあさりと同じですが、あさりと大きく違うところは、最後まで砂を吐いてくれない事です。と言うかあさりとは砂が入っているところが違うような気がします。この点はこの後の下ごしらえのところで、もう少し触れたいと思います。
5.調理の準備
カガミガイを水道水でしっかりと洗う。
ザルとボウルを使用してガシャガシャとしっかりと洗って下さい。
この時、ケガをしない様に軍手等を着用することをお勧めします。
大きなカガミガイが多い場合は一個ずつたわしで洗う方が綺麗に洗えます。
・下ごしらえ
大きくてずっしりと重く、凄く存在感のあるカガミガイ。
美味しく頂くためにはここからひと手間必要です。
美味しいカガミガイにありつくため頑張りましょう!
砂出しのところで少し触れましたが、このま調理すると食べたときにジャリジャリします。
ただ、このジャリジャリは普通の砂とは違うような気がします(あくまで私感ですが・・)
あさりで砂抜きを失敗した時のあのジャリジャリとは違い咬み砕くことができるカルシウムの様な物の気がします。
砂の正体は詳しく調べていないし、よくわからないのですが、食べる時に邪魔になることは間違えないので、これを取り除く必要があります。
ジャリジャリのある場所はだいたいつかんでいますので、この部分の取り方を説明します。
ここの黒い部分にジャリジャリがあります。
・貝を開く
この黒い部分を取り除くためには貝を開ける必要があります。
貝を開くには次の方法があります。
1.貝割ナイフ等でそのまま開く
2.火であぶって開く
3.茹でて開く
4.冷凍して開く
私のお勧めは 3 の茹でて開く方法です。
一応すべての方法を解説します。
1.貝割ナイフ等でそのまま開く
カガミガイは凄く強く、そして硬い。
ホタテ等を開いたことがある方はその違いに驚くと思います。
平たいスプーンやバターナイフ等で開けることが出来るホタテ等とは違い、全く歯が立ちません。プロの料理人のように包丁扱いが上手くなければ、包丁を入れることも難しいです。
とても危険ですのでやめましょう!
貝割ナイフ等の専用ナイフでもかなり労力が掛かりますので、捌く数量によってはとても大変です。
貝割ナイフはネットや釣具店でも購入できます。(あると便利です)
2.火であぶって開く
この方法は身も乾燥しますし、あまりお勧めできません。
焼貝するならこのまま最後まで調理して、最後に黒い部分を取った方が良いと思います。
3.茹でて開く
私はこの方法が一番のお勧めです。(後の項目で詳細説明します)
まず鍋に水をとカガミガイを入れて火をかけます。
ここでの目的は茹でる為ではなく、かわいそうですが貝を瀕死の状態にすることです。
そして貝が少し開いたところでお湯から引き上げます。茹ですぎてしまうと出汁がでてしましますので、ここは大切なポイントです!
写真のように少し開いた所にナイフを入れ殻にくっついている貝柱の部分を削ぎます。
するときれいに開くことが出来ます。
4.冷凍して開く
最後に冷凍して貝を殺し開く方法です。
この方法はとても簡単で確実ですが少し時間が掛かることが難点です。
ただ、一度に食べきれず冷凍保存した場合などは一石二鳥でとても簡単です。
以上が貝を開く方法です。次にいよいよ黒い部分を取り除きます。
・ジャリジャリ部分を取り除く
この矢印の黒い部分を取り除きます。
このようになります。
それではお勧めの軽く茹でて貝を開けて処理をする方法で説明します。
手順① 水に入れて火をかける
水から貝を入れて火に掛けます。
瀕死にして貝を開くことが目的ですので、完全に茹でないで下さい。ダシが出てしまいます。
手順② 貝割ナイフを入れて殻から身を剥がす
隙間から貝割ナイフを入れて、上面に着いている貝柱を剥がします。強く着いている場所は貝柱ですが、その他の部分も剥がします。貝割ナイフが有ればベストですが、バターナイフ、ステーキナイフでも大丈夫です。
手順③ 貝を開く
貝を開きます。
この時、蝶番がカケてカスが出ますが、後で洗い流すので大丈夫です。
手順④ 黒い部分を取り除く
ジャリ袋?を取り除きます。
そのまま指でちぎっても良いですが、キッチンバサミを使用すると綺麗に取れます。
この時、3か所に切れ目を入れます。
先ず貝柱の横を切ります。
次に内臓の横を切ります。
最後にジャリ袋の下側を切ります。
切れ目を入れたジャリ袋を指で取り除きます。
切れ目が入っているので綺麗に取れます。
もし、この時崩れてしまっても洗い流せば大丈夫です。
手順⑤ 取り除いた部分を軽く洗い流す
黒い部分を取り除いた後に軽く水で洗い流してください。残ってしまった所があれば取り除きます。
この時、貝を開いた時にカケた殻や吐き残しの砂等がないか一応確認しながらヒダの間等も軽く洗っておくと安心です。
手順⑥ 水を切って完成
補足
貝を開く方向によってジャリ袋の位置が左右変わります。
貝の形には方向性がありますので、向きを揃えて開けば大量に処理する時などは方向が揃ってやりやすいかも知れません。
ただ、貝殻の深さはどちらもあまり変わりませんので、焼貝をする時に等でもどちらを残しても問題ありません。私は気にせず貝を持った時の方向でそのまま開いてしまいます。
私はカガミガイを知人などに配る時はこの黒い部分を取る動画を送っています。
(ブログに動画を載せる方法がわからないので今回は載せませんが、もし必要でしたら勉強して挑戦しますのでご一報下さい。)
ここまでの処理をしたら後はお好みの調理方法で美味しく食べてあげてください。
6.調理例
7.最後に
潮干狩り場の場合、対象はあさりとかハマグリであることが多いです。
持ち帰り制限が1人2キロまでとか、与えられた貝網一杯までとかの規制がある事がほとんどだと思いますが、カガミガイは別の入れ物に入れておけば、制限量とは別にしてくれる所が多いので、分けておいて交渉するか、事前に確認しておくことをお勧めします。
潮干狩り場でも自然相手の遊びですので、危険もあります。
安全には十分に注意して楽しんでください。
みなさんも是非、挑戦してみてくださいね!
最後までお付き合いありがとうございました!