潮干狩り アサリ以外の貝をとってみよう!サルボウガイ編【採り方・食べ方・特徴を徹底解説】
皆様、こんにちは。いよいよ待ちに待った潮干狩りシーズン開幕です。
潮干狩りでは多くの方がアサリの採取を楽しまれていることと思います。
干潟という豊かな生態系には、アサリ以外にも色々な貝が生息しています。その中には、食材としても価値のある貝類も少なくありません。
名前は知っているけど食べれるのかな?とか、見知らぬ貝が採れたけどこれはどんな貝?などといった時に当ブログの潮干狩りカテゴリーの画像から目的の貝を探して頂けると少しはお役にたてるかも知れません。
今回は「アサリ以外の貝をとってみよう!」シリーズのサルボウガイ編をお届けします。
1.サルボウガイ(猿頬貝)とは?
学 名:Scapharca kagoshimensis
生息地:内湾の砂泥地や潮間帯上部
「サルボウガイ」という名称をご存知でしょうか。市場で一般的に見かける機会は少ないかもしれませんが、食通の間では知られた存在です。
この貝は、寿司ネタとしても高級とされる「赤貝」と同じフネガイ科に属する二枚貝で見た目もそっくりです。また、赤貝によく似た濃厚な旨味を持っていることが特徴です。実際に、市販されている「赤貝の缶詰」の原材料として、このサルボウガイが用いられているケースが多く見られます。本物の赤貝(標準和名:アカガイ)と比較すると、アカガイは最大で11cm位に対してサルボウガイはやや小型で最大5cmくらいです。潮干狩りにて個人で採取できるので、食材としても魅力的な存在ではないでしょうか。
2.形態的な特徴と見分け方
サルボウガイと赤貝を見分ける際の重要なポイントは、殻の表面にある放射状の筋、「放射肋(ほうしゃろく)」の数です。赤貝の放射肋が約42本であるのに対し、サルボウガイは約32本と、数が少ないことで区別できます。また、殻の色も、赤貝がより鮮やかな赤色を帯びるのに対し、サルボウガイは褐色味が強い傾向があります。潮干狩りで一般的に見られるのは、ほぼサルボウガイで殻長3~5cm程度の個体が多いようです。
3.潮干狩りでの採り方
アサリが主に砂地に生息するのに対し、サルボウガイはやや泥質(粘土質)の干潟を好む傾向があります。
通常のアサリのポイントではアサリに混ざって稀に出てくる程度ですが、泥質な足がぬかるむ様なポイントではサルボウガイが採れる確率が高く感じます。
私がよく行くポイントではアサリが採れる砂質の場所から河口へ近づくと気持ち悪いくらいの泥質ゾーンがあり、そこではサルボウガイがたくさん採れます(逆にサルボウガイしかとれません)
泥質なポイントでの採取では完全に潮が引いてからだと、べちゃべちゃと泥を掘る形になり非常に採りにくいので完全に引く前の水がある状態で柔らかい泥の表面近くを手で掘ると言うよりかは広くかき分ける感じで探るとゴロっと出てきます。
ただし、この採り方をする場合は泥の中の貝殻等で怪我をするかもしれませんので、必ず手袋を着用して下さい。下記の様な切創防止タイプの手袋は万一ガラス等の鋭利な物があっても怪我をしにくいです。
サルボウガイを専門で採っている人の中には粗目のふるいを使用して泥ごとすくって泥をふるい流して採っている人もいます。
有料の潮干狩り場ではサルボウガイも採取量に含まれるところが殆どだと思います。
サルボウガイは採れる場所を見つけると沢山採れることも多いので採り過ぎには注意したほうが良いかも知れません。
あと、サルボウガイが全く採れない潮干狩り場も多いのでサルボウガイも採取の目的とされる場合は事前にサルボウガイも採れる場所なのか事前にネット等で調べて行かれる事をお勧めします。
4.採取後の現場処理と持ち帰り方
泥の中から採った場合は特に汚れていますので海である程度綺麗にして持ち帰りましょう!
丈夫な貝殻を持っていますので、海で採取アミやカゴの中でガシャガシャとしっかりと洗いましょう。
貝の持ち帰り方
持ち帰り方はアサリと同じで問題ありません。
-
水なしでの持ち帰り
アミやクーラーボックスに入れて車内が高温にならない様に持ち帰ります。
数時間でしたら水なしでも大丈夫です。 -
海水に入れて持ち帰り
メリット:砂抜きをしながら持ち帰れるので砂抜き時間を短縮できる。
デメリット:季節によっては水温の管理をしながら持ち帰らないと酸欠で弱ってしまったり死んでしまったりする。
冷やし過ぎない程度に保冷剤等で水温が上昇しないようにする必要あり。
(手を入れて少し冷たく感じるくらいが丁度良いです。逆に生暖かい様では危険です)
また、海水が入ることによりクーラーボックスが重くなる。クーラーボックスの密封性によっては海水がこぼれることがある。
以上の様に海水を入れて持ち帰る事にはデメリットが多く感じられますが、砂抜き時間の短縮にはとてもメリットを感じられますので私は常に海水に入れた状態で持ち帰ります。
どちらの持ち帰り方法でも新鮮な海水をなるべく持ち帰る様にして下さい。
5.帰宅後の処理
帰宅後は直ぐに砂抜き処理をします。
貝をザル付きボールやバットに入れて、持ち帰った海水を入れ砂抜きをします。
ボールやバットにザルを使用するのは吐いた砂を再度吸い込む事を防ぐためです。
(砂を吐かせたあとには沢山の砂が底に溜まります)
水ありで持ち帰った場合で、クーラーボックスを開けた時に貝が水管を出していて砂抜きをしていた様でしたら移動時間にもよりますが海水を持ち帰ってきたものに替えて1~2時間程度(クーラーボックスを開けた時に水管を出していて、明るくなった途端に貝が閉じれば元気な状態で持ち帰って来れた証拠です)
水なしで持ち帰ってきた場合は5~6時間程度砂抜きをしましょう。
砂抜き時間後すぐに食べない場合や自身が疲れてやる気が出ない場合などは1晩置いて翌朝でも大丈夫です。(ただし水温は上がらない様にして下さい。酸欠で弱ります)
海水を持ち帰れなかった場合
持ち帰った海水で砂抜きを出来れば一番良いのですが、持ち帰ることが出来ない事もあると思います。そのような場合は海水に近い塩分濃度の塩水を作ります。海の塩分濃度は3~3.5%くらいと言われていますので、水1リットルあたり約30g程度の塩を入れて塩水を作って砂抜きをして下さい。(この条件では実際の塩分濃度は2.9%になりますが簡易的な計量で問題ないとされています)
6.砂抜き後の処理
砂抜き後は手間ですが1個ずつタワシ等でしっかりと表面のヌメリや汚れを洗います。
貝の縁にある毛の様な黒い部分はとろうと思えばとれますが、貝が生きている状態の時にはとれにくいそうです。なのでとらなくても大丈夫です。
洗浄後、直ぐに調理しないなら冷蔵庫で保管します。
7.美味しい食べ方
適切な下処理を行ったサルボウガイは、その濃厚な旨味を活かした加熱料理に適しています。代表的な調理法としては、醤油、みりん、砂糖、酒、生姜などを用いた煮付けや佃煮が挙げられます。甘辛い味付けが貝の持つ強い旨味とよく調和し、ご飯のおかずやお酒の肴として大変美味しくいただけます。
【調理例:サルボウガイの煮付け】
- 丁寧に洗浄したサルボウガイを鍋に入れます。
- 調味料(酒、醤油、みりん、砂糖、生姜の薄切りなど)を加えます。(貝自体から水分が出るため、加える水の量は控えめにするか、最初は加えずに様子を見ます)
- 中火にかけ、貝の口が開き、煮汁が適度に煮詰まるまで加熱します。焦げ付きに注意してください。
サルボウガイは、アサリやハマグリの様にぱかっと大きくは開きません。
開き具合はこの程度
私はこの時点で一旦火を止めて、貝殻から身を外します。
その方が身に味が良く染み込みます。
4.少し煮詰めて出来上がり。
汁が無くなるまで煮詰めると佃煮風になります。
私は佃煮風が好きでよく作ります。
ビンに入れて保管してご飯に乗せて頂いています。
あさりより濃厚な貝の味がします。
ちなみに我が家のご飯は玄米です。(笑)
他にも刺身、酒蒸し、フライ・天ぷら等でも美味しく頂けます。
ただ、刺身は赤い血の様な汁がでますし、手間がかかりますので私は好きではありませんし、お勧めしません。
でも、アカガイと同じで美味しいと好まれていますので興味がある方はYouTube等でプロの板前さんが詳しく解説した動画がupされていますので参考にして調理されても良いと思います。
その他注意事項として
サルボウガイはヘモグロビンを持っていますので、これが酸素に触れると人間の血と同じ様に赤くなるそうです。これによってサルボウガイから出る汁は血の様に赤いです。


酒蒸し等もアサリやハマグリとかの様に白い汁ではなく赤黒い汁になります。
少し気持ち悪いですがこれが正常ですので、安心して食べて下さい。
8.最後に
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では、潮干狩りで見つけることができるサルボウガイについて、その特徴、探し方、取り扱いの注意点、そして調理法をご紹介させて頂きました。
潮干狩りではアサリ以外にも魅力的な貝が色々と生息しています。
楽しく潮干狩りをするため許可されている区域、採取可能な貝の種類、サイズ、量に関する規則は、地域や漁業権によって定められています。必ず事前に確認し、これらの規則を守りましょう。
また、有料の潮干狩り場は管理された場所ではありますが、自然相手のレジャーです。
安全には十分に注意し、潮干狩りを楽しみましょう!!
最後までお読みいただきありがとうございました。